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水戸市の胃がんリスク検診(ABC検診)について

 

胃がんリスク検診(ABC検診)とは

胃がんリスク検診(ABC検診)とは、血液検査で胃がんの発症リスクを評価する検査です。胃の内部をカメラで直接観察する内視鏡検査とは異なり、血液中の胃がんに関係する物質の濃度を測定することで、胃がんのリスクを判定します。

胃がんにはピロリ菌感染が深くかかわっています。ピロリ菌感染のない方から胃がんが発生することはまれです【1,2】。また、ピロリ菌感染によって胃粘膜の萎縮が進むほど胃がんが発生しやすくなります【3】。胃がんリスク検診(ABC検診)は、ピロリ菌感染の有無(血清ピロリIgG抗体)胃粘膜の萎縮の程度(血清ペプシノゲン値)を測定し、胃がんになりやすい人かなりにくい人かを判定する検診方法です。

水戸市では、40歳以上の方が、胃がんリスク検診(ABC検診)を受けることができます。

水戸市胃がん検診へのリンク

胃がんリスク検診の判定

ピロリ菌感染の有無ペプシノゲン値による胃粘膜の萎縮度によって、胃がんになりやすいかどうかをABCDの4段階で判定します。

  • A群:ピロリ菌陰性かつペプシノゲン値が正常。将来的な胃がんリスクはほとんどなく、症状がなければ原則として胃カメラ検査は不要。
  • B群:ピロリ菌陽性かつ軽度の萎縮あり。2~3年に1度の内視鏡検査が推奨されます。
  • C群:ピロリ菌陽性かつ中等度から高度の萎縮あり。毎年の内視鏡検査が推奨されます。
  • D群:高度の胃粘膜萎縮がありピロリ菌が住めない状態。胃がんになる危険性が相当に高い。毎年の内視鏡検査が推奨されます。

文献4を参考に作成

  • ピロリ菌が陽性であるB群とC群の方はピロリ菌除菌を行うことも重要です。除菌を行うことで今後の胃がんになるリスクを下げることができるからです【5,6】。 また、ピロリ菌除菌後の方はリスク検診の対象外となります。

検査対象外となる方

以下の方は正確な判定結果が出ないため、検査実施対象外となります。

  • ピロリ菌の除菌治療を受けたことがある方
  • 食道、胃、十二指腸の疾患が強く疑われるような自覚症状がある方
  • 食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの治療を受けている方、特に胃酸を抑える薬を飲んでいる方
  • 胃の切除手術を受けたことがある方
  • 腎不全または腎機能障害がある方
  • 免疫不全、免疫を抑制する薬を内服している方

胃がんリスク検診で重要なこと

胃がんリスク検診は、将来的な胃がんのリスクを予測する検査であり、胃がんを早期発見するための検査ではありません。そのため、リスクに応じた内視鏡検査を将来的にも継続して受けることが重要です。


当院の胃カメラ検査

引用文献

  1. 1. IARC Helicobacter pylori Working Group. (2012). Helicobacter pylori eradication as a strategy for preventing gastric cancer. IARC Working Group Reports, No. 8.
  2. 2. Uemura, N., Okamoto, S., Yamamoto, S., Matsumura, N., Yamaguchi, S., Yamakido, M., ... & Graham, D. Y. (2001). Helicobacter pylori infection and the development of gastric cancer. New England Journal of Medicine, 345(11), 784-789.
  3. 3. Miki, K. (2006). Gastric cancer screening using the serum pepsinogen test method. Gastric Cancer, 9(4), 245-253.
  4. 4. 三木 一正. (2019). 胃がんリスク層別化検診(ABC検診) 胃がんを予知・防止し、診断・治療するために. 南山堂.
  5. 5. Kamada, T., Hata, J., Sugiu, K., et al. (2005). Clinical features of gastric cancer discovered after successful eradication of Helicobacter pylori: Results from a 9-year prospective follow-up study in Japan. Aliment Pharmacol Ther, 21, 1121-1126.
  6. 6. Fukase, K., Kato, M., Kikuchi, S., et al. (2008). Effect of eradication of Helicobacter pylori on incidence of metachronous gastric carcinoma after endoscopic resection of early gastric cancer: An open-label, randomised controlled trial. Lancet, 372, 392-397.
  7.  
  8.