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水戸市の大腸がん検診(便潜血検査)

近年、日本人の死亡原因の上位を占めるがんの中でも、大腸がんは増加傾向にあり、特に早期発見と早期治療が重要とされています。そこで今回は、水戸市でも行われている大腸がん検診(便潜血検査)についてご案内いたします。

便潜血検査とは?その意義とは?

便潜血検査は、便に混じった血液を検出する検査です。40歳以上の方が対象で、年に1回受けることが推奨されています。がんやポリープなどの大腸の病気があると大腸内に出血することがあり、その血液を検出することが目的です。大腸がんやポリープがあっても症状が出ないことはよくあります。出血があったとしても通常は微量で、目には見えません。

便潜血検査は、目には見えないレベルの便に混じった血液を検出することで「大腸がんによる死亡率を減少させることが科学的に証明された」有効な検診です【1】。症状が出る前に早期発見することで、大腸がんで亡くなることを防ぐことができます。

便潜血陽性(要精密検査):大腸がんの疑いあり、必ず精密検査を受けましょう

大腸がんがあっても症状が出ないことはよくあります。「症状がないから大丈夫」などと自己判断せず、必ず精密検査を受けましょう。便潜血検査が陽性となっても、精密検査を受けない方が多いことが指摘されています。令和4年度の大腸がん検診陽性となった方の精密検査受診率は69.9%であり【2】、精密検査未受診の方の中には大腸がんがすでにあるにもかかわらず見つかっていない方がいる可能性があります。

また、便潜血検査が毎回陽性になるわけではないので、もう一度便潜血検査をするのは良くありません。一度陽性の反応が出たら、必ず精密検査を受けてください。

精密検査の第一選択は大腸カメラです

大腸カメラは下剤で大腸を空にした後に、肛門から内視鏡を挿入して直腸から盲腸までの大腸すべてを観察し、がんやポリープなどがないか調べます。必要に応じて組織の一部を採取し、病理診断(顕微鏡診断)によって“がん”かどうかの確定診断が可能です。

また、ポリープがあった場合には切除することで大腸がんを予防することも可能です。海外においてポリープを切除することで大腸がんを抑制することは多数報告されていますが、日本人における報告でも、ポリープを切除することでポリープを切除しなかった方と比べて70%大腸がんに罹患することが減少することが報告されています【3】。

大腸カメラは辛いイメージがある方もいらっしゃると思いますが、当院においては鎮静剤を用いてウトウトした状態で検査をすることで、苦痛を抑えた検査をすることが可能です。

また、フジフィルム社の最新型高精度の内視鏡を使用し、検査施行医はがん専門施設で豊富な経験を有する医師が担当することで精度の高い検査が可能です。

当院の大腸カメラについて詳しくはこちら

まとめ

早期発見、治療で大切な命を守るために、40歳以上の方は毎年、繰り返し検診を受診し、「要精密検査(便潜血検査陽性)」という結果を受け取った場合には必ず精密検査(大腸カメラ)を受けるようにしてください。

参考文献

  1. 1. 厚生労働省, 2003年. 「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」. 平成16年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班.
  2. 2. 厚生労働省. (2023). 「令和4年 国民健康・栄養調査」. 国民健康・栄養調査.
  3. 3. 村上良介ら. 大腸ポリープの自然史に関する臨床疫学的研究: 内視鏡的ポリープ摘除術の大腸がん予防効果. 成人病. 1991;31:49-55.